パン酵母の旅

青山パン祭りの塚本紗代子が表現者として
のパン屋を求めて日本中を回ります。

by Sayoko Tsukamoto
今年の11月の開催で第16回を迎える青山パン祭り。毎回約60店舗ほどのパン屋さんが出店してくださり、会場はたくさんの人で活気が溢れます。
Words by
Sayoko Tsukamoto

Images by 
Aoyama Bread Festival
ここ数年でパン人気の熱は上昇し、全国いたるところでパン祭りが開催されるようになりました。そんな時代の中、青山パン祭りでは有名無名は関係なく、パンはアート作品、パン職人さんはアーティストと捉え、職人さんの込められた想いやこだわりが形になるまでのビハインドストーリーを大切にし、発信しています。
シンプルで奥深いパン。
小麦や水、塩の一つ一つの素材を追求し、
発酵を促すミクロな菌たちと向き合い、
長い経験の蓄積によって生まれた一つの表現。たとえ同じレシピだったとしても、作る人、仕込む環境が変われば、全く違う作品となるのがパンの面白いところ。今回、第16回の青山パン祭りではその鍵となる酵母について探求していきます。
この世に初めて 発酵パンが
誕生したのは紀元前3000年の古代
エジプト時代と言われています。

パンと酵母の出会い

それ以前のパンは石板で小麦をすりつぶして粉にし、水を加え練って整形したらすぐに焼いて食べていたそう。
発酵パンが生まれたのは偶然の産物と言われており、ある時、うっかりパン生地を仕込んだことを忘れ、1晩放置してしまったことで発見されたそうです。
1日経った生地は普段の状態とは様子が違い、ぷくぷくと膨らんでいる。
怖いもの知らずでそのまま焼いてみたところ、今まで食べていたパンよりもふっくらしていて味も美味しい!
そうして、評判を生み、発酵させてパンを焼く技術は確立され、広がっていきました。
実はこの発酵の正体はビール酵母だと研究により明らかになっています。エジプト時代、神に捧げるお酒としてビールの醸造が行われていました。ビール工房の隣でパンを仕込んでいたそうで、ビールに含まれる酵母が空気中を漂ってパン生地に棲みつき発酵が始まったということです。
そもそも
パン酵母の働きとは
なんでしょうか?

酵母の
テロワール

ほとんどの方がパンをふっくら膨らめせるためと認識されているのではないでしょうか?
酵母は数えられないほどの種類が存在し、それぞれの持つ菌の特性は違います。
膨らませるのが上手な菌もいれば、酸味を生み出す菌もいます。

重要な要素は生地を膨らませることですが、それ以外にも酵母の働きにより生まれる産物はたくさんあります。パンの風味や食感は、酵母をどう組み合わせ、生かしていくかが関係しています。

同じレシピで作ったとしても、人が代わり場所が変われば、全く同じパンができるとは限りません。それは、その人の手に生きる菌、酵母を育てた場所に存在する菌が異なるから。
ワインの世界では「テロワール」という言葉が使われます。
その土地の個性、原料となるぶどうの樹を取り巻く環境がワインの味に影響を与えるという意味ですが、パン作りにおいても酵母を取り巻く環境がそのパンの味を左右します。

パン職人さんの想いをより深く知るために次回は「酵母のテロワール」をテーマに取材をしていきます。
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