Fermentation

A Tour of Bread Yeasts: Vol.1

Shopain Artisan Bakehouse
by Sayoko Tsukamoto
小麦・酵母・水・塩の材料
と職人の技術によって生まれるパンは、
シンプルでありながら奥深い作品です。
Words by
Sayoko Tsukamoto

Images by
Sherry Zheng
たとえ同じレシピでも、作る人、仕込む環境が変われば、全く違う作品となるのがパンの面白いところ。
パン職人さんの想いや個性をより追求するため、今回青山パン祭りでは「酵母のテロワール」を今回のテーマに取り上げました。

そもそもパン酵母の働きとはなんでしょうか?

ただ生地を膨らませるだけでなく、酵母をどう組み合わせ、活かしていくかでパンの風味や食感が変わってきます。
どんな酵母でどう発酵させるか?そこには、職人のこだわりが垣間見れるはず。
ちょっとマニアックな視点ではありますが、職人さんの想いを取材していけたらと思います。

今回1軒目に訪れたのは、那須塩原にある「Shopain Artisan Bakehouse」
今回1軒目に訪れたのは、那須塩原にある「Shopain Artisan Bakehouse」。明るい店内には、焼きたてのパンがずらりと並び、ショーケースには洋菓子が。そして、小さなカェスペースもあり、1人でも気軽にくつろげるような暖かい雰囲気に包まれるパン屋さんです。お店を営むのはパン職人の平山翔さん青山パン祭りでも出店してくださっています。

翔さんはパリッとした生地がたまらないクロワッサンや人気のシナモンロール中身がぎゅっと詰まったハード系、ふっくらしたドーナツなど、幅広いパンを手がけています。

そんな翔さんは、パン職人というのは「発酵の味」を追求していくものだと話してくれました。翔さんが育てている自家製酵母は3種類。それにイーストを加えた4種類を組み合わせ、自分の作りたいパンを表現しています。

大粒のブラックレーズンで起こす酵母。
1つめは大粒のブラックレーズンで起こす酵母。
ブラックレーズンは表面積が広く、その実の周りにたくさんの酵母がついています。また、酵母のエサとなる甘み(糖分)も多く砂糖を添加しなくてもよく発酵するそうです。焼き上がりはメイラード反応を起こして、綺麗な赤茶色の仕上がりになるので、翔さんはハード系のパンに使うことが多いそうです。

2つめは薄力粉で起こす酵母。
水分多めで仕むので、きび糖と黒糖を加えて発酵を促して育てています。ヨーグルトみたいな爽やかな酸味が感じられるそう。発酵力は弱めのため小麦の風味を生かしたパン作りができるそうです。
3つめは全粒粉でおこす酵母。
こちらはいわゆるパン生地と言われるもので、水分は少なく固めに仕込んでいます。焼き上がりもしっかり酸味が感じられるような、深い味わいになるそうです。

翔さんは自分がどんなパンを作りたいか、食べる人に何が一番伝わって欲しいかで、酵母を使い分けています。例えば、農家さんから届いたこだわりの小麦の味や風味を楽しんでもらいたいものは、イーストを使って発酵時間を短くして焼き上げているんだとか。生きている酵母と対話しながら、それぞれが発酵することで生まれる味を予測しながら仕込む感覚的な手仕事はまさに職人技。

「Shopain Artisan Bakehouse」の翔さん(右)と 秀美さん(左 )。
「パンを通し人生楽しいんだぞってことを伝えたい」と笑顔で話す翔さん。

「パン屋さんは敷居が低いから子供も、男性も、誰でも気軽に入りやすいお店だと思っている。たとえ1人で来ても、スタッフが笑顔で迎え入れ、1人ではないということ、来たときよりも幸せな気持ちで帰ってもらえるような暖かいパン屋でありたいトル。」とお店への想いを話してくれました。

取材させていただき、翔さんのパンの美味しさを追求し妥協しない職人の顔と優しい店主の顔どちらも拝見することができ、ますますSHŌPAIN ARTISAN BAKEHOUSEのファンになりました。

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